活動を知る

不妊に関する市民公開講座/第36回茨城生殖医学懇話会

自分ごとで健やかになる妊活支援 ~10年の不妊体験を経て~

不妊を経験し、妊活をサポートする側になるまでの道のりと心の葛藤について、また妊活支援活動への思いについてお話ししました。

開催日:2019年6月30日(日)

20190630.jpg

担当者の感想

茨城県では、不妊について理解を深めていただくため、「不妊に関する市民公開講座」と「茨城生殖医学懇話会」を年に2回開催されており、前回に引き続き、Fine公認ピア・カウンセラーより不妊体験談をお話しさせていただきました。今回のテーマは「プレコンセプション・ケア ~妊娠(受胎:コンセプション)前から健康状態を向上させるケア~」でした。プレコンセプション・ケアとは、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことです。

午前に開催された「不妊に関する市民公開講座」はどなたでも参加できる講座です。当日は早朝からあいにくの雨模様でしたが、会場は満席で予備の椅子を出し、約110名の参加者が集まりました。半年ごとに行なわれている講座でリピーターも多いそうです。カップルの参加が多かったのも印象的でした。

はじめに国分寺ウーマンズクリニック院長 谷垣礼子先生から「不妊治療からみる妊活」のご講演がありました。痛みの少ない検査方法や次の治療段階に進む目安、女性ホルモンや妊娠のしくみ、心の問題などをお話しくださいました。さらに、妊娠するために積極的に取り組みたいと思う患者は多くいますので、日常生活の中でも取り組める妊活へのアドバイスもお話しいただき、ありがたかったと感じました。

続いて国立成育医療研究センター副センター長 村島温子先生より「内科からみた妊活」のご講演がありました。妊娠前の体と心の健康管理について、症例を用いながら、わかりやすくお話しくださいました。妊娠前の体の状態が妊娠後にどのような影響を与えるのかを知ることができ、妊娠前から健康状態を向上させることの大切さがわかりました。男女別のプレコンセプションケア・チェックシートなどを活用し、女性だけではなく、カップル揃って取り組むことの大切さも理解できました。また、薬の服用について、妊娠後に薬を飲むこと全てがリスクとは限らず、薬を賢く使って妊活を進めることが大切とのことでした。個人の判断で薬の服用を中止したことにより病気を悪化させたり、妊娠初期に服用した薬を過度に怖がったりすることのないように、「妊娠と薬情報センター」で相談できることを教えていただきました。

最後に私から「自分ごとで健やかになる妊活支援 ~10年の不妊体験を経て~」というタイトルで不妊体験談をお話ししました。不妊治療をはじめたきっかけから治療終結までの心の動きと、その後、妊活をサポートする自身の活動がサポートする側とされる側双方の心の成長につながると実感していることをお話ししました。また、私はヨガ講師でもあり、妊活に取り入れたいヨガについてもお話ししました。

最後はおふたりの先生方と一緒に壇上に座らせていただき、質疑応答がありました。参加者からは積極的に質問があり、先生方もていねいに答えられていました。私には「簡単にできるヨガを教えてください」との質問があり、簡単な呼吸法と腰をゆるめる動きを紹介し、ご夫婦ともにやっていただくとよいことをお伝えしました。

参加者はうなずいたり、メモを取ったりと熱心に聴いている様子が見られ、この市民講座はわかりやすく最新の情報を提供いただける大変貴重な機会だと感じました。膨大にあふれる情報の中で、参加者自身にとって必要なものが見えたのではないかと思います。

午後に開催された「第36回茨城生殖医学懇話会」は、医療に携わる専門家の方々のための講演会でした。6名の先生方のご講演が行なわれ、その内容は専門的かつ最新の医療情報で、私が普段聴くことのできないご研究や医療の現場に関するものでした。その中でも着床前診断についてのご講演は私にとって大変興味深い内容で、生殖医療の研究が加速する中、倫理面で難しい問題があることが伺えました。患者は正しい知識を得た上で、カウンセリングを利用するなど、慎重に検討する必要があると感じました。

最後に私から不妊当事者の心理について、午前とほぼ同様の内容で自身の体験を交えながらお話ししました。先生方のご講演や活発な質疑応答の後で、不妊体験談をお話しすることにおこがましい気持ちになりましたが、講演後は温かいお言葉をかけていただき安心したとともに、専門家の方々の活気に満ちあふれた場に立ち会えたことに感慨深いものがありました。

茨城県産婦人科医会様をはじめ、石渡産婦人科病院院長 石渡 勇先生、司会をしてくださった聖マリアンナ医科大学産婦人科教授 鈴木 直先生には準備段階から当日まで大変お世話になり感謝を申し上げるとともに、この会に演者として参加できたことを光栄に思います。不妊患者のためになることを第一に研究なされている多くの先生方の思いに感銘を受けました。ありがとうございました。
(担当:渡邉雅代/Fine公認ピア・カウンセラー)

Fine (2019年7月22日)

ページの先頭へ