| 【小林 淳一氏 講演概要】 あなたは、不妊症ですか? 不育症ですか? |
| 一般に不妊症とは、妊娠を目指して2 年間たっても妊娠しない場合を指します。また、不育症とは妊娠は成立するが、流産や死産を繰り返して生児を得られない場合 を言います。 実際の外来では市販の妊娠診断薬の精度の向上により超初期流産(化学的流産)も妊娠と考えて、不育症の外来を訪ねてくる方も多くいらっしゃいます。 まずそのような時は、問診で不妊症なのか、臨床的流産(胎のうが確認された後の流産)をされた不育症なのかよくお話しを聞かせていただきます。問診でのお話は、検査や治療方針選択のための大切な情報となるので、特に慎重に行っていきます。 流産は、その多くが受精卵の異常(染色体異常など)による自然淘汰的なものとされています。体外受精によって得られた受精卵を分析すると、染色体異常がある率は受精時に40%、胚盤胞で25%、妊娠成立時10%という報告があります。つまり胚盤胞まで到達した受精卵でも、その1/4 に染色体異常がみられるということになります。これらは防げない流産の原因となります。 不育症でいう臨床的流産は、35 歳の方で平均20%とされていますので、その方が2 回連続して流産する確率は単純に計算して、「20%×20%=4%」とかなり稀なことと考えられます。しかし、その中でも繰り返す流産には適切な治療によって防げる流産もあります。1〜2 回の流産後に不育症を心配してご来院される患者様にも、流産の時期などによっては不育症の検査も行っております。 また現場では、不妊症の方でやっとご妊娠したのに流産されてしまったり、不育症で治療を受けていらっしゃる方がなかなか次のご妊娠ができず、不妊症の治療も行っていくといったことも見受けられます。実際には不妊症とか不育症とかあまり区別することなく、その方の現在の状態を把握し最善な治療を行っていくことが大切かと考えています。 私は、不妊症・不育症の治療を分けて考えるのではなく、健康な赤ちゃんを胸に抱くといった一つの目標に向かって、いろいろな方面から考え、検査し治療を行っていくことも必要だと思っています。 (Fine祭りパンフレットより) |