日本で何らかの不妊治療・検査を受けたことがあるカップルは4.4組に1組と言われ、不妊に悩んだことがあるカップルは3組に1組と言われています。
不妊は女性だけの問題とみなされがちですが、乏精子症や無精子症などの男性不妊も決して少なくなく、不妊は男女を問わず深刻な問題となりつつあります。
現代では不妊治療を行なう施設の増加や自治体による相談窓口の設置など、受診や相談もしやすくなりました。体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(ART)によって子どもを授かる人も増えています。日本で生殖補助医療により誕生した赤ちゃんは、2021年度は年間69,797人を数え、その年の出生児全体の約11.6人に1人にまで達しているのです。
このような背景にもかかわらず、”結婚していながら子どもがいない”夫婦は、日本においてまだまだ周囲の理解を得られないものです。とりわけ子どもを望み、努力を重ねても授かることができない「不妊」は体験者にしかわからない苦しみ、つらさ、悲しみをともなうため、当事者の精神的負担ははかりしれないものがあります。
「不妊」は「不妊治療」とともに、その内容を正しく知られていないがゆえに特別視されることも多く、そのため当事者は、不妊であることをなかなか周囲に告白できないという現状もあります。それにより相談者をなくし、すべての問題を自分ひとりの心の中に抱え込まざるを得ないため、当事者はますます孤独に陥りがちです。
不妊は罪悪感や劣等感を抱くべきことでも恥ずべきことでもなく、もちろん決して同情されることでもない「単なる事実」です。「不妊」や「不妊治療」が、社会全体にもっと正しく理解され、不妊治療を受けることや、それを受けずに自然にまかせて授かる日を待つこと、また夫婦二人の道を選ぶこと、あるいは養子や里子を迎えることなど、不妊に関わるすべてのことが「ごくありふれた普通のこと」になるのが理想だと、私たちは考えます。
こうしたことからFineは、不妊体験をもつセルフ・サポートグループとして、2004年に任意団体として設立されました。
私たちは「不妊治療患者が正しい情報に基づき、自分で納得して選択した治療を安心して受けられる」環境、また「不妊体験者が社会から孤立することなく、健全な精神を持ち続けられる」環境を整えることを目指しています。
そのために、広く一般市民(主として同じく不妊体験をもっている男女)を対象として、情報交換およびネットワーク構築事業、情報提供事業、啓発事業、カウンセリング事業を行なっています。
また、公的機関への働きかけなどを行なうことによって、不妊に関する啓発活動、意識変革活動を行ないます。
さらに、国際的な不妊患者団体連合(iCSi=International Consumer Support for Infertility network)に参加して、各国の不妊治療に関する情報交換を行ない、日本での活動に反映させています。
<Fineの使命>
<Fineの活動>
※上記は2022年11月23日現在の予定です。*印のものは、別途参加費や実費が必要となります。
Fineの提唱する不妊体験者の定義は、「現在・過去・未来の不妊体験者」であり、
「子どもを望んで、授からない(かもしれない)ことをつらい、悲しいと思ったことがある」人は、男女を問わずみんな仲間だと思って活動を行なっています。
自分の体に何らかの不安があり、将来子どもを持てるかどうか心配な独身の方でも、
過去にはつらい思いをしたけれど、現在はすでに子どもがいる方も、みんな仲間です。