不妊について

不妊予防

日常健康な生活を営んでいる男女では、「いつでも子どもをつくることができる」と思い込んでいる場合が多いものです。 しかし、不妊は現在の自分の健康状態と無関係な原因によって起こるやっかいな病気だということを忘れてはなりません。
では、どんなことが不妊の原因になるのでしょうか?

実は思春期から生殖年齢にある男女の生活環境、晩婚・晩産に伴う加齢、不健康な性行為による性感染症、喫煙や過度なダイエットによる月経不順、卵巣機能不全、肥満、潜在性糖尿病などの生活習慣病や子宮内膜症、子宮筋腫など、すべてが不妊の原因になるのです。
これらによる不妊予備軍は、現在の不妊夫婦の何倍も増加傾向にあると推定されています。
ですから、不妊治療の技術が進歩しても、不妊は決してなくなることはなく、むしろこれらの原因による不妊は増えているといわざるをえません。
最近、生殖補助医療(ART)の治療成績が頭打ちになっています。
この原因として、多胎防止のための単一胚移植が原則となったこと、さらにARTを受ける女性の年齢が比較的高齢化してきていることがあげられます。卵巣予備能は、20歳代後半より徐々に低下し始めて、37〜38歳以降に急激に低下することが知られています。ところが、現在、ARTを受けている女性の平均年齢は37〜38歳台であり、まさに卵巣予備能が急激に低下する年代なのです。
このような卵巣予備能の低下は卵子の数と質の低下に起因すると考えられており、採卵率・受精率・妊娠率にも影響します。また、妊娠しても流産率や染色体異常率の増加につながります。このため、L-カルニチンやDHEAなどの投与が試みられていますが、40歳代になるとなかなか卵巣予備能は改善しません。

久保春海理事長
NPO法人日本不妊予防協会
久保春海理事長

晩婚・晩産化は女性の社会進出とともに国際的に避けて通れない重要な課題になっています。このため近年、妊孕能保存(Fertility Preservation)という考えが提唱されてきています。もとは若年性がんなどに対して導入され、卵子凍結や卵巣凍結などが行なわれていますが、加齢不妊の予防に対しても用いるべき有用な手段であり、30歳代前半までに既婚者は夫婦の胚凍結保存、未婚者は自己の卵子凍結保存をすることで、妊孕性を長期に維持することが可能になっています。
このような不妊予防法が、ワークライフ・バランスやライフスタイル・チョイスとして考えられるべき時代になってきたといえるでしょう。

  • 単一胚移植・・・体外受精で子宮に戻す受精卵(胚)の数を1個にすること。
  • 卵巣予備能・・・卵巣機能の予備能力。加齢とともに低下して生殖機能に影響する。

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