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PAS活動レポート(岡山二人クリニック)

「行政等により不妊治療の社会的環境が整えられることを期待しています」

(ご依頼者の感想)

岡山県の不妊治療当事者を対象にアンケート調査を行ない、不妊治療に関する社会や職場での現状と求められる支援を明確にしました。その結果をもとに、岡山県における不妊治療患者の経済的・精神的負担軽減を求め、岡山県知事と岡山県議会議員55名宛てに要望書を郵送しました。

アンケート実施期間:2024年9月5日(木)〜10月31日(木)

担当者の感想

岡山県在住の当事者より不妊治療の経済的負担や仕事との両立についてFineに相談があったことをきっかけに、岡山ARTフォーラム(代表世話人:岡山二人クリニック理事長 林 伸旨先生)からご提案があり、「保険適用後の不妊治療に関するアンケート 2024 岡山」を実施しました。(設問結果

この調査は、保険適用後の不妊治療患者の置かれている現状把握と、よりよい支援制度を実現するためにはどのようなサポートが必要かを明確にし、その結果を岡山県の行政機関に報告して、岡山県の患者一人ひとりが納得のいく治療を受けられる環境を整えることを目的としています。岡山県内の不妊治療施設を受診されたことがある方、これから受診される方を対象に調査を行ない、461人から回答を得ました。

不妊治療の保険適用後、不妊治療費助成金制度の有無や内容は、各自治体の判断に委ねられています。そのため、自治体に助成金制度が存在しない、または治療内容が制度対象外の場合、当事者の経済的負担が増加することがあります。

調査では、自治体等が実施している不妊治療費助成金制度を利用したことが「ある」と回答した人は 30%でした。全国調査の59%と比較すると、岡山県は利用したことがある人の割合が低いといえます。また、助成金を利用していない(しなかった)理由のトップは「受けている不妊治療が助成の対象ではない」(48%)、次いで「制度を知らなかった」(40%)でした。

特に岡山県内で人口が多い岡山市と倉敷市では、特定不妊治療(体外受精及び顕微授精)、男性不妊治療、一般不妊治療(人工授精等)のいずれも助成対象ではありません。また、助成金を受け取れたかもしれないのに「制度を知らなかった」という当事者も多く、せっかくあるサポート制度が有効に使われていないという事実が明らかになり、早急に啓発、認知度向上の必要があることもわかりました。

この他の調査項目についても結果をまとめ、2025年1月にプレスリリースを発行しました。(プレスリリースグラフ集)その後、この結果をもとに、岡山県における不妊・不育症当事者の環境改善に関する要望書を、岡山県知事の伊原木 隆太様と岡山県議会議員55名宛てに郵送しました。(要望書

当事者が正しい情報をもとに自己選択・自己決定できるようにするためには、この助成金制度に限らず、さまざまな格差を減らす努力が行政や企業に求められると思います。また、その背景として、どのような家族の形でも尊重し、受け入れることができる社会の構築が必要でしょう。そのためには、当事者の生の声をもとに、誰もが社会のさまざまな課題を自分事として考えることが大切だと思います。今回の調査が、不妊を少数者だけの問題ではなく、社会全体の問題として考えるきっかけとなることを願っています。

この事業にあたり、岡山二人クリニック理事長の林先生をはじめ、岡山ARTフォーラムの皆さまに多大なるご協力をいただきました。また、岡山県内の不妊治療施設のご協力により多くの不妊当事者の方がアンケートに回答していただき、大変有益な情報を得ることができました。本当にありがとうございました。
(担当:西 博子、上野 真樹子/Fineスタッフ)

 

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