「同じような思いをしている人たちの話を聴けたことが、すごく良かったです」
(参加者の感想)
患者会にておしゃべり会の司会進行をしました。
主催: 蔵本ウイメンズクリニック(福岡県福岡市)
URL: http://www.kuramoto.or.jp/
実施日:2016年3月3日(木)
昨年に引き続き、蔵本ウイメンズクリニック様の患者会にお招きいただき、おしゃべり会の司会進行役を務めました。
通常のおしゃべり会は、たとえば「これから体外受精をする方」とか「40歳以上の方」、「二人目不妊の方」など、大まかなテーマが決まっていることが多いのですが、今回は「100人いれば100通りの生き方がある〜あなたらしい「決断」をするために語り合いませんか?〜」というタイトルで募集されたとのこと。昨年末に出版した拙著『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)の帯のフレーズに合わせて考えてくださったとのことで、とても嬉しく光栄に思ったと同時に、どのような方がいらっしゃるのか、その場にならないとわからないという、ちょっとドキドキの状態で当日を迎えました。
参加されたのは、通院中の患者さん8名。一つのグループでおしゃべりするには最大の人数で、二つのグループに分かれ途中でメンバーをシャッフルすることもでき、患者会にはとてもよい人数です。
私の今回の進行のポイントは、まず、皆さんのニーズを引き出すこと。なので、集まっていただきご挨拶をした後で、最初に「今日、ききたいことと、話したいこと」を書いていただくことから始めました。そこで多く出た事柄の順番に、みんなで考えながらお話ししましょう、という流れです。
すらすらとたくさん出てくる方もいらっしゃれば、最初は「え〜、何があるかなぁ」と迷われながら、なかなか書き進まない方も。でも、一つ出ると、結構出てきます。また、書き出してみたことで少しご自身でも整理されていったようでした。不妊治療中はとにかく多くの課題が目の前に山積みになります。頭や気持ちが混乱することもよくあるので、こういう時はアウトプットして「見える化」してみるのもよい方法だと思います。
自己紹介の時に、ご自身が書いた「ききたいこと、話したいこと」を順番に話していただきました。100通り、とまではいきませんが、やはり、皆さん心に抱えている、考えていらっしゃることは人それぞれで、どの話題からにしたらよいか一瞬迷った後、多かった仕事と治療の両立についてのお話から進めました。昨年Fineでも「不妊治療と仕事の両立アンケート」を実施し、2365人中92%が「両立が困難」、また、そのうち42%が治療のために退職や休職を余儀なくされているという結果が出たのですが、なんとここでも、8人中5人が、治療のために仕事をやめたとのことで、その深刻さに思わずため息がこぼれてしまいました。それでも、皆さん治療に一生懸命向かっていらっしゃり、一日も早く願いが叶うことを信じて、がんばっていらっしゃることをひしひしと感じました。
時間が半分過ぎたところで、今度は4人ずつのグループに分けて「よりたくさんおしゃべりできる」少人数にしました。その時のグループ分けで、希望により「治療のやめどきも視野に入れているグループ」を作ったほうがいいのではないかと思い、皆さんにお尋ねしたところ、なんと半数の4名の方がそのグループでお話をしたいとおっしゃり、悩みながらもギリギリの気持ちで治療をがんばっている方も少なくない現状を実感しました。
2時間という時間はあっという間で、今回も、終わってからも診察以外の方は全員その場に残られ、ずっとおしゃべりを続けていらっしゃいました。こういう場の必要さを改めて感じ、このような機会を設けてくださったクリニックに、私からも感謝の気持ちでいっぱいになりました。
(担当:松本亜樹子 / Fineスタッフ)
<参加者からいただいたご意見、ご感想(アンケートより抜粋)>