不妊当事者の思いと自助グループ活動の実際と意義
助産師を目指す学生さんへ、不妊体験談と不妊治療の実際について、また、Fineの自助グループとしての活動とその意義についてお話ししました。
主催:佐久大学 別科助産専攻
開催日:2019年6月25日(火)
担当者の感想
佐久大学で助産師を目指す学生さんへ、不妊当事者としてお話しさせていただきました。学生さんが実習で担当する妊産婦さんに不妊治療をした方が多くなっているそうです。産後の育児がスムーズにいくように支援するには不妊への理解が大切だと感じ、当事者の生の声を聴きたいとご依頼をいただきました。不妊の現状をこれから助産師になられる学生さんに知っていただける機会をいただき、とても嬉しい気持ちになりました。
私からは、心、治療、仕事、経済的負担の4つの視点から不妊当事者の気持ちや不妊治療の現状についてと、Fineの自助グループとしての活動やその意義についてお話しさせていただきました。不妊の体験は一人ひとり違いますが、私の体験の中から当事者の思いを何か感じていただけたのではないかと思います。 その他、仕事と治療を両立することが困難なことや、不妊ピア・カウンセラーの活動などもお伝えしました。
学生さんは、普段身近に不妊当事者と関わる機会があまりなく、どう接したらいいのかわからなかったそうですが、「話しを聴くだけでも安心してもらえることがわかった」「助産師として夫婦が一緒に治療に向かえるように支援したい」「笑顔の関わりを大切にしたい」などの感想をいただき、それぞれ助産師としての思いがでてきたようでとても嬉しかったです。
これから不妊当事者も支援していかれる未来の助産師さんへお話しする機会をいただき感謝いたします。
(担当:倉石孝子/Fine公認ピア・カウンセラー)
■今回の講演内容についてご意見、ご感想(抜粋)
・実際に病院に行く回数や治療の日程などを知ることができて、仕事との両立が本当に困難だということがわかりました。当事者の“リアル”を知ることができ良かったです。
・不妊治療はつらさが最初だけでなく、何度も繰り返しておこることがつらさを助長しているのだと分かりました。不妊でつらい女性の方が多いため、夫婦間での温度差が生まれてしまうことがあることがわかりました。夫婦での話し合い、認識を少しでも近づけることが大切なのだと感じました。多様化する家族の形を大切にし、その人が望む気持ちを叶えることができるように助産師としてがんばりたいと思います。
・実際に当事者の方のお話しを聞く機会がなかなかなかったので、不妊治療を受けた方の思いやその時々の感情を教えていただいて、さまざまな葛藤を抱えながら治療をしているということをあらためて実感した。
■今回の講義を受けて、あなたの中で変化はありましたか?(抜粋)
・不妊当事者が目の前にいたらなんて声をかけたらいいのか...と思っていました。しかし、気持ちを聴くことだけでも、当事者に対するケアの一つであることがわかりました。辛い気持ちに寄り添うことを大切にしていきたいと思いました。
・治療は夫婦で受けるものなのに、長期間治療を受けていると、何のためにやっているのかわからなくなってしまうこともあったり、温度差によって夫婦仲が悪化してしまったりすることを知り、助産師としてどのような援助が行なえるかあらためて考えていきたいと思いました。
・治療を受けて子どもを授かるか授からないかだけでなく、授かった後にその女性には新たな目標が出てくるため、子どもを授かって終わりにしてはいけないと学んだ。
■次回はどのようなものを望みますか(抜粋)
・二人目不妊の悩みや思いについて
・医療者に言われて傷ついたことを知りたいです。(何気ない一言でもいいので)
・さまざまな不妊体験をきいてみたいと思いました。
・ピア・カウンセリングを行なうことで、自分の中で変化があったことを知りたいです。
【今回の講義内容についての5段階評価】