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日本・デンマーク二か国間のマルチ・ステークホルダーによる不妊治療に関するシンポジウム

患者・当事者の声と今後求めること

不妊治療保険適用後の現状と課題をFineの実施したアンケート調査を元に情報提供しました。特に未だ変わらない企業や職場における話しづらさや、減らない不妊退職など、不妊や不育症治療と仕事の両立の現状と課題、今後企業に求められる制度と風土についてお話ししました。

主催:デンマーク王国大使館

開催日:2024年7月5日(金)

担当者の感想

「日本・デンマーク二か国間のマルチ・ステークホルダーによる不妊治療に関するシンポジウム」― 両国のステークホルダーによる最新の調査結果や実績から、少子化対策の今と今後の課題について共に考えるーにお声掛けいただき、お話しさせていただきました。
デンマークの出生率は日本よりも高い水準であるものの、近年、出生率の低下や出産年齢が高くなってきていて、若い世代の中には子どもを持つことにためらいを感じたりタイミングを後回しにする若者も出てきているなど、日本と共通の課題が多くあります。デンマーク政府はその対策として、3サイクルまでの不妊治療の保険適用を6サイクルに増やすことを決定しました。さらに、第2子の出産へも不妊治療の保健適用を拡充できるよう今年12月1日からの導入を目指し、必要とされる体制についてヘルス・リージョンと呼ばれる国内の担当医療区域との話し合いを進めているそうです。このような状況の中、今回は日本とデンマークの不妊治療に携わる医療従事者、患者団体、政策立案者(国会議員、行政府担当者)および企業のマルチ・ステークホルダーが集まり、保険適用により改善されたこと、新たに見えてきた課題などの情報・知見を共有し、不妊治療のさらなる普及のため、2カ国間で、意見交換を行ないました。

私からは当事者の声として、不妊治療の保険適用で良くなったこと、悪くなったこと、回数制限や年齢制限の緩和や撤廃を求めていること、仕事との両立への思いをお伝えしました。

デンマークでは、不妊治療と仕事を両立するのが当然という社会意識があり、さらに政府や行政の意思決定の場には、必ず当事者や当事者団体が参加するのも当たり前になっているそうです。しかし、そんなデンマークでも少子化の傾向にあり、合計特殊出生率は1.55まで下がってきています。この背景には、子どもを持つことに躊躇いを感じている人が増えていることなどもあり、プレコンセプションケアの必要性がますます高まっているとのことでした。
デンマークは、福祉や医療、仕事の効率性、ワークライフバランス等の面でも日本より環境が整っていると思っていましたが、そのデンマークにおいても、実際にはさまざまな課題を抱えていることがわかりました。

デンマークの良いところ、日本の良いところを知り、政策立案者や医療者、当事者団体がともに連携をとりながら環境改善の糸口を見つけていくこともできるのではないかと思いました。

このような機会を頂戴しましたこと、深く感謝申し上げます。
(担当: 野曽原誉枝 / Fineスタッフ )

Fine(2024年8月20日)

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