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都立高校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業

いのちの授業~“産まれる”の多様性~第四弾

多様な生殖(人工授精・体外受精など)・出生(未熟児など)を知ることを通して、妊娠や出産に至るプロセスは多様であることを知り、どの命も平等に尊いことを学び、自己と他者への尊重と寛容性を育むための授業を行ないました

主催:東京都・東京都立上水高等学校

開催日:2025年1月30日(木)

担当者の感想

東京都が主催する「都立高校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業」に、株式会社ベルタ様とFineが共同で応募し、希望された高校で「いのちの授業」を行なう機会をいただきました。今年度最後の第四弾として、都立上水高等学校の生徒の皆さまへの授業を行ないました。株式会社ベルタ様は、女性のライフステージに応じた課題に寄り添う美容健康商品等の企画・販売を行なっている企業様で、以前よりFineと一緒にプレコンセプションケアの一環として何かできることはないかと検討を重ねてきた結果、今回の授業の実現に至りました。

都立上水高等学校の2年生、6クラスそれぞれのクラスで、同時に授業を行ないました。
今回は前回の3校で実施したグループワークではなく、より楽しみながら学びを深められるよう、ベルタ様作成の「ライフステージスゴロク」を用いました。

前半は座学で、男性と女性の、特に生殖機能の違いについてお話ししました。最初に「女性のお腹の中で卵子が1番多いのはどの時期?」などのクイズ形式で、高校生の皆さんに考えていただくきっかけを作りました。その後、4~5名のグループで、予測できない未来を体験していただくため、「ライフステージスゴロク」というゲームで未来を疑似体験してもらいました。ゲームを始める前に自分が描いているライフイベント(結婚、就職、子どもなど)の希望を書き出し、ゲームの中ではさまざまなライフイベントを体験します。具体的には職業の有無、転職の有無、結婚の有無、子どもの有無や不妊治療の有無を、サイコロを振って進んでいきます。人生の分岐点で自分の意図しない出来事やアクシデントにあったり、子どもの学費が必要になったり、借金をしたり、自分が思い描いた未来とは異なる状況を体験していただきました。
生徒の中には、「フリーターなのに、結婚して子どもが産まれたー」、「こんなにたくさん借金しちゃったー」、「思ったよりお金かかるなー」という声が、あちらこちらから聞こえてきました。ゲーム実施前の自分は子どもが欲しいと思ったけれど、ゲームの中では不妊治療することになった人や、子どもを望まない選択をした人もいました。生徒たちのほとんどが思いもよらなかった体験をし、ゲームの前に考えていた通りの人生ではなかったようです。

ゲームの後は、Fineから産まれ方の多様性についてお話ししました。妊娠や出産に至るプロセスの一環として、不妊治療(人工授精・体外受精・顕微授精)や不育、流産、死産、帝王切開などがあり、自然妊娠が当たり前ではない、妊娠をすれば必ず産まれるわけでもない、自然分娩も当たり前ではない、ということを説明しました。いかに自分たちが奇跡的な確率で産まれてきたのかを感じていただけたのではないかと思います。

学校で行なわれるいのちの授業は、助産師さんが赤ちゃんの模型や実際の赤ちゃんを連れていき、赤ちゃんを抱くなどの経験を通して命の重さを知ってもらうものが多いのですが、今回の私たちの授業は、不妊を経験した者だからこそ伝えられることにフォーカスしました。男性、女性それぞれの生物学的な特徴や違いについて知っていただき、性に対するネガティブイメージを払拭していただくこと。さらに望んでも妊娠できない状況や、流産や早死産による命の喪失について知っていただき、たくさんのプロセスを経て産まれた自分の命は当たり前ではなく奇跡なんだと感じてもらうこと。そしてそれは自分の命だけではなく、他の命も同じように奇跡なのだということを知っていただける貴重な機会になったと思います。授業の内容を茶化すこともなく、真剣に取り組まれている姿に感銘を受けたと同時に、このようないのちの授業の大切さ、必要性をあらためて痛感しました。

授業の後、担任の先生が「子どもたちにとって知らないことを知るきっかけになってよかった。子どもたちがこれからの人生の中で、知らなかったと後悔することなく、正しく知り、自分らしく選択できる大人になってほしい」、「なかなか当事者のお話を聞く機会はありませんので、実際に体験した方の生の声を聞くことは、生徒たちにとってもより心に届いたのではないか」とおっしゃってくださいました。

このような機会を設定してくださった都立上水高等学校の先生、株式会社ベルタの皆さまには深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
(担当: 野曽原誉枝 / Fineスタッフ)
( Fine講師担当: 庄司、上田、岡田、永池、野曽原 )

参加者アンケート

■学生の感想(抜粋)
・出産・妊娠の大変さを改めて知りました。
・生きているのは当たり前ではないのだと知りました。
・自分の命を大切にしたいと思いました。
・初めて学ぶことが多く、結婚、妊娠、出産の認識が変わりました。
・子どもができることが当たり前ではないことを知り、結婚しても家族計画を考える必要を感じました。
・死産や流産を経験する人が多いことに衝撃を受けました。
・自分が将来どうなるかわからないけれど、自分の選択に自信を持っていきたいです。
・学校の授業ではあまり時間をかけない内容について受けることができたので良かった。
・人生は何が起きるかわからないので、自分の思っていたものと違う未来になっても、先に変化があると思って受け入れていきたいと思いました。

Fine(2025年2月21日)

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