いのちの授業~“産まれる”の多様性~ 第二弾
多様な生殖(人工授精・体外受精など)・出生(未熟児など)を知ることを通して、妊娠や出産に至るプロセスは多様であることを知り、どの命も平等に尊いことを学び、自己と他者への尊重と寛容性を育むための授業を行ないました。
開催日:2024年6月20日(木)
担当者の感想
東京都が主催する「都立高校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業」に、株式会社ベルタ様とFineが共同で応募し、希望された高校で「いのちの授業」を行なう機会をいただきました。その第二弾として、都立神代高等学校の生徒の皆様へ90分の授業を行ないました。株式会社ベルタ様は、女性のライフステージに応じた課題に寄り添う美容健康商品等の企画・販売を行なっている企業様で、以前よりFineと一緒にプレコンセプションケアの一環として何かできることはないかと検討を重ねてきた結果、今回の授業の実現に至りました。
神代高等学校は全日制と定時制があり、今回は定時制の生徒に対しての授業でした。プログラムは第一弾の都立新宿山吹高等学校と同じものでしたが、第一弾同様に皆真剣に話に耳を傾けてくださいました。
前半は座学で、私から、男女の体の仕組みの違いと産まれ方の多様性についてお話ししました。体の仕組みの違いについては、最初に「女性のお腹の中で卵子が1番多いのはどの時期?」などのクイズ形式で、皆様に考えていただくきっかけを作りました。また、生まれ方の多様性については、妊娠や出産に至るプロセスの一環として、不妊治療(人工授精・体外受精・顕微授精)や不育、流産、死産、帝王切開などがあり、自然妊娠が当たり前ではない、妊娠をすれば必ず産まれるわけでもない、自然分娩も当たり前ではない、ということを説明しました。いかに私たちが奇跡的な確率で生まれてきたのかを感じていただけたのではないかと思います。
後半は株式会社ベルタ様によるグループワークで、4人1組に分かれて、①妊活・不妊、②妊娠中、③出産、④産後・子育て の4つの中から1つを選択し、そのテーマにまつわるニュースや、テーマに必要な時間・お金をスマホやタブレットを駆使して調べていただきました。最初はどのような検索ワードを入力したらいいのか?と戸惑う生徒もいらっしゃいましたが、「例えば妊活、ニュースなどと入れてみてはどうですか?」とアドバイスすると、その後は各自スムーズに調べることができた様子でした。
高校生が自らテーマを選び、自ら情報を入手し、グループで話し合って発表するという体験は、他の授業でもあるかもしれません。しかし妊活、妊娠、出産、子育てというテーマは、学生の皆様の「今」の関心事とはほとんど関連がなく興味を持ってくださるか心配でしたが、皆真剣に、そして時には楽しそうにグループで相談しながら取り組んでくださいました。グループワークの中で、「育児にかかる費用を調べてみて、兄弟がいるのでうちの親はたいへんなんだなー」と言語化してくれた生徒もいらっしゃいました。
いのちの授業は、助産師さんが赤ちゃんの模型や実際の赤ちゃんを連れて、赤ちゃんを抱くなどの経験を通して命の重さを知ってもらうものが多いのですが、今回の私たちの授業は、不妊を経験した者だからこそ伝えられることにフォーカスしました。男性、女性それぞれの生物学的な特徴や違いについて知っていただき、性に対するネガティブイメージを払拭していただくこと。さらに望んでも妊娠できない状況や、流産や早死産による命の喪失について知っていただき、たくさんのプロセスを経て生まれた自分の命は当たり前ではなく奇跡なんだと感じてもらうこと。そしてそれは自分の命だけではなく、他の命も同じように奇跡なのだということを知っていただける貴重な機会になったと思います。授業の内容を茶化すこともなく、真剣に取り組まれている姿に感銘を受けたと同時に、このようないのちの授業の大切さ、必要性をあらためて痛感しました。
この授業は、あえて大人向けの啓発活動の内容と同じ構成にしています。それは私たち大人が高校生を自立した一人の人間として重している、信じていることを伝えたいからです。そのような思いを受け取ってくださった生徒の皆様には、本当に感謝いたします。
このような機会を設定してくださった都立神代高等学校の先生、株式会社ベルタの皆様には深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
(担当: 野曽原誉枝 / Fineスタッフ )
・性や出産について話せる世の中になればいいと思った
・知らなかったことを知ることができてよかった
・自分の命も他の人の命も、たくさんの奇跡の積み重ねということがわかった
・必ずしも生まれる命だけではないことを知って、命の大切さを学べた
・生まれることも奇跡、その後の費用など大変なことが多いことがわかった
・育児にはたくさんのお金がかかることがわかった
いのちの授業~“産まれる”の多様性~ 第一弾 の活動レポートは、こちら