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国政への働きかけ

参院選2022 政党公開アンケート【不妊・不育症患者への政策について】

Fineでは、第26回参議院議員通常選挙において、各政党に対して公開アンケートを実施しました。
不妊治療が今年度より保険適用となりましたが、すべての不妊・不育症患者の経済的負担軽減が実現できたとは言えません。また、治療と仕事との両立、不妊を取り巻く環境の改善など、まだ検討すべき課題もあります。国の政策を動かすには、各政党・国会議員の方々のお力が必要です。
今までさまざまな国政への働きかけをしてきたFineには、選挙のたびに、不妊・不育症当事者や関心のある方々から「各政党はどのような政策を考えているのだろうか」という問い合わせをいただいています。
そこで今回も、「不妊・不育症治療への政策」について、「自由民主党」「立憲民主党」「公明党」「日本共産党」「日本維新の会」「国民民主党」「れいわ新選組」「社会民主党」(順不同・敬称略)にお聞きしましたので、そのご回答を掲載します。
(メールアドレス、問い合わせフォーム、Fax番号がウェブサイトに掲載されていた党にお願いしました)

2022年7月7日現在の回答状況
<設問と回答> (順不同・敬称略)

問1 「不妊治療と仕事の両立」について、現状の政策でも十分だとお考えですか?

1、十分(理由:)
2、十分ではないが現状のままでよい
3、多少改善すべき(理由:)
4、大きく改善必要(理由:)

  自由民主党 公明党 立憲民主党 日本共産党 日本維新の会 国民民主党 れいわ新選組 社会民主党
回答  

<回答理由>

【自由民主党】

「3、多少改善すべき」の理由
政府においても、不妊治療と仕事との両立を支援する企業内制度の導入に向けたマニュアル等の作成や、両立支援等助成金の支給などの施策に取り組んでいますが、企業や国民の方々に向けた更なる施策の周知など、不妊治療と仕事との両立に向けた職場環境の整備をさらに進めていく必要があると考えます。

【公明党】

「4、大きく改善必要」の理由
不妊治療と仕事の両立は重要な課題です。貴団体が2017年10月に発表された「仕事と不妊治療の両立に関するアンケートPart2」では、仕事をしながら不妊治療を経験したことのある方のうち、95.6%が「仕事との両立が困難」と回答し、「仕事と不妊治療の両立が困難で、働き方を変えざるを得なかった」と答えた40.8%のうち過半数の50.1%が「退職した」と回答しています。
そのため、不妊治療について職場での理解を深め、仕事と不妊治療の両立に役立つ休暇制度等の導入に取り組む事業主を支援し、仕事と不妊治療が両立できる職場環境の整備を推進するとともに、短時間の通院などに対応できるよう、フレックスやテレワーク、時短などの取り組みに加え、1時間単位で年次有給休暇を取得できる制度の導入を促進します。

【立憲民主党】

「4、大きく改善必要」の理由
不妊治療では頻繁な通院が必要となります。また排卵周期に合わせるため前もって治療日が決められない場合も多く、急に仕事を休んだり遅刻・早退したりする必要性があることから、平成29年度の厚生労働省の調査によれば、仕事を辞めたり、雇用形態を変えたり、不妊治療をやめる選択を余儀なくされた方が3割程度もいるのが現状です。
今年1月から、国家公務員が最大で年間10日間の有給休暇を取得できる制度が創設されました。政府はこれを契機に、休暇制度が企業や地方自治体にも広がることを想定しているようですが、同調査によれば、何らかの支援を行っている企業はまだ3割程度しかなく、不妊治療への理解や環境整備に早急に取り組まなければなりません。

【日本共産党】

「4、大きく改善必要」の理由
不妊治療のための通院や心身の負担のために、仕事を辞めざるを得ない人も少なくありません。国家公務員対象の「出生サポート休暇」が創設されましたが、同様の休暇制度をはじめとする両立支援策をつよめることが必要だと考えます。

【日本維新の会】

「4、大きく改善必要」の理由
不妊治療の保険適用だけでは、仕事と両立しない

【国民民主党】

「4、大きく改善必要」の理由
適切な保健指導や支援が提供されるよう、対策の強化について検討するとともに、休暇制度の拡充をはかり、不妊治療時に仕事と治療が両立できる環境整備をはかります。

【れいわ新選組】

「4、大きく改善必要」の理由
不妊治療を経験した人のうち16%は退職、8%が雇用形態を変更しているというデータもあります。国がしっかり啓発活動や、不妊治療への支援を行う事業所などへの支援を行う必要がある。産休・育休だけではなくその前の段階の夫婦へのサポートは重要です。

【社会民主党】

問2 4月から不妊治療の保険適用が開始されました。不妊・不育症患者の経済的負担について、現状の政策でも十分だとお考えですか?

1、十分(理由:)
2、十分ではないが現状のままでよい(理由:)
3、多少改善すべき(理由:)
4、大きく改善必要(理由:)

  自由民主党 公明党 立憲民主党 日本共産党 日本維新の会 国民民主党 れいわ新選組 社会民主党
回答 その他  

<回答理由>

【自由民主党】

「その他」の理由
不妊症や不育症については、有効性・安全性が認められた検査・治療を、原則3割の窓口負担で受けられ、また、高額療養費制度による限度額適用の対象となったところです。今後さらに、現時点で保険適用となっていない検査・治療について、有効性・安全性のエビデンスの集積によって保険適用を目指すことが適当と考えます。

【公明党】

「3、多少改善すべき」の理由
不妊治療の保険適用については、当事者の立場に立ってフォローアップを行うことが重要です。不断に検討を行い、必要な制度改正を行います。また、現時点でエビデンスが不十分とされた治療についても、将来的な保険適用の可能性があると評価されたものは、先進医療として実施することで保険診療との併用を可能とし、将来的な保険適用をめざします。

【立憲民主党】

「4、大きく改善必要」の理由
望む人が最良の不妊治療を受けられるように、不妊治療の保険適用を拡充すべきです。全ての検査と治療(評価療養・患者申出療養・選定療養などを含む)について、保険適用または保険診療との併用が認められるよう、適用範囲を拡大すべきです。不妊治療の現行の年齢制限についての検討を行うべきです。

【日本共産党】

「4、大きく改善必要」の理由
保険適用は重要な前進ですが、適用の範囲や回数、また保険負担分でかえって負担増になるのではないか、などについての不安やご意見があります。安心して治療ができるように負担の軽減、支援の充実を図っていきます。

【日本維新の会】

「4、大きく改善必要」の理由
医療機関の技術力を考慮した制度にすべき

【国民民主党】

「4、大きく改善必要」の理由
保険適用になったことは大きな負担軽減になりましたが、年齢制限や回数制限等、検討すべき課題はまだ多くあると考えます。

【れいわ新選組】

「4、大きく改善必要」の理由
この4月の新制度で、人工授精、体外受精、顕微授精まで保険適用になったのは前進だが、とは言え、一回あたりの負担が軽減されても、回数を重ねていく方への経済的負担や精神面での負担が重いため、その負担の軽減も必要と考えます。

【社会民主党】

問3 不育症について、現状の政策でも十分だとお考えですか?

【自由民主党】

不育症の原因となる疾病に対する検査や治療のうち、有効性・安全性等が確立しているものは、保険給付の対象となっています。 また、保険適用を見据え、先進医療として実施される不育症検査の費用の助成、ピア・サポート活動等への支援等を実施する都道府県等への補助をはじめとする心理的な悩みに対する支援、さらには全国フォーラムや広報による普及啓発活動等に取り組んでいるものと承知しており、引き続きこうした支援を充実させていくことが重要と考えます。

【公明党】

「不育症検査費用助成事業」について、対象となる検査や、実施自治体の拡大を推進します。また、流産・死産等で子どもを失った家族が必要な支援につながるための仕組みを構築するとともに、グリーフケアやピアカウンセリング体制の充実を図ります。

【立憲民主党】

不育症治療の保険適用などの経済的支援などを進めて行く必要があると考えます。

【日本共産党】

不十分です。検査・治療にかかる費用への助成を拡充するとともに、不育症患者の方々への相談支援、治療と仕事の両立支援、心理的・精神的負担の軽減など、施策の充実が必要だと考えます。

【日本維新の会】

不育症検査費用の助成だけでは不十分である。

【国民民主党】

大きく改善が必要だと考えます。適切な保健指導や支援が提供されるよう、対策の強化について検討して参ります。

【れいわ新選組】

報道等によれば、妊娠前の検査やカウンセリングを通じた適切な管理で85%が出産できるとされており、不妊症治療と合わせて財政的支援が必要と考えます。

【社会民主党】

問4 貴政党のマニュフェストの中に、不妊・不育症患者(妊娠・出産を希望する方々も含めて)に関する政策が入っていましたら、教えてください。

【自由民主党】

下記項目を公約に掲げております。
○ 全ての世代が安心できる持続可能な年金・医療・介護などの全世代型社会保障の構築に向け、計画的に取組みを進めます。出産育児一時金の引上げなど、出産育児支援を推し進め、仕事と子育てを両立できる環境をさらに整備します。
○ 世界に冠たる国民皆保険を堅持しつつ、生涯を通じた健診(歯科を含む)、リハビリテーションの充実など、予防医療や健康づくりを進めます。介護予防・介護休業の促進など認知症対策を拡充します。

【公明党】

●不妊治療の保険適用について治療の質の低下を招くことがないよう不断に検討し必要な制度改正を行うとともに、不育症検査費用助成事業の対象検査、実施自治体の拡大、ピアカウンセリング体制の充実、働きながら不妊治療できる環境づくりも推進します。
●流産・死産等で子どもを失った家族が必要な支援につながるための仕組みを構築するとともに、グリーフケアやピアカウンセリング体制の充実を図ります。
●子育て、介護、治療など、さまざまな事情に応じて柔軟に休暇を取得できるよう、民間企業において、1時間単位で年次有給休暇を取得できる制度の導入を促進します。

【立憲民主党】

不妊治療の保険適用を拡充します。男性不妊についてもカウンセリングを含めた環境を整備します。男女ともに利用できる不妊治療休暇を導入します。

【日本共産党】

不妊治療の経済的、精神的負担の軽減をはかります。保険適用の範囲の拡大が実現しました。引き続き経済的負担の軽減をすすめるとともに、女性の不妊専門相談センターの整備・拡充、リプロダクティブ・ヘルス&ライツにもとづいて女性の自己決定権を保障する立場から、カウンセリング体制を強化し、悩みや思いに寄り添ったアドバイス、支援ができるようにします。生殖補助医療においては、生まれた子どもの「出自を知る権利」保障など人権とリプロの立場をつらぬきます。
――各分野政策「7、女性とジェンダー」 リプロダクティブ・ヘルス&ライツの視点にたった政治を

【日本維新の会】

不妊治療が保険適用になったことで、支援の対象外となってしまった効果的・先進的な治療に対する助成の再開・継続を検討するとともに、不妊治療分野における混合診療解禁を早期に実現します。また時間単位の有給取得を企業に奨励するなど、不妊症・不育症の課題と向き合い仕事と治療が両立できる環境整備に取り組みます。

【国民民主党】

不妊治療への公的支援をさらに拡充します。妊婦の新型コロナウイルス感染症対策(ワクチン優先接種や出産支援)を手厚くします。
働く女性の母性健康管理措置を充実し、休暇取得、在宅勤務や軽労働への移動等が容易に実行できるようにします。

【れいわ新選組】

子どもを持つことが経済的負担とならないよう、全ての人が不妊治療の選択ができる状況を整備すると昨年の衆院選来の「ジェンダー政策」で掲げております。

【社会民主党】

問5、不妊・不育症患者(妊娠・出産を希望する方々も含めて)に関する政策について、今後、国会等の場において、取り組んでいきたいとお考えでしょうか?

【自由民主党】

上記(問4で回答)の公約に沿って、取り組んでまいる所存です。

【公明党】

本年の通常国会においても、複数の公明党議員が、不妊治療への支援について政府に質問を行っています。例えば、不妊治療の保険適用の回数制限について、これまでの助成金の支給回数は一度リセットし、新たにカウントを始めるように、公明党議員が国会で質問。厚生労働大臣から前向きな答弁を引き出し、実現することができました。
また、本年5月には「経済財政運営と改革の基本方針2022等に向けた提言」を政府に申し入れ、不妊治療の保険適用後のフォローアップや、流産・死産のグリーフケアなど、不妊症・不育症への支援について政策提言を行いました。公明党の提言を踏まえ、政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」には、不妊症・不育症支援や、流産・死産等を経験された方への支援が明記されました。
引き続き、不妊・不育症への支援に取り組みます。

【立憲民主党】

ぜひ取り組みたい(内容: 不妊治療の保険適用の拡充、不妊治療休暇の導入など)

【日本共産党】

はい。特に保険適用後の実情をふまえ、実態と改善の方向について検討していきたいと思います。

【日本維新の会】

はい。

【国民民主党】

ぜひ取り組みたい(内容:不妊・不育治療時に仕事と治療が両立できる環境整備をはかります。)

【れいわ新選組】

実際に不妊治療などにかかる費用面での支援だけではなく、なかなか治療の成果が出ないかたの仕事への両立支援、精神面でのケアができるような専門職の育成が必要と考えます。

【社会民主党】

問6 その他、不妊に関するお考えや、私どもの活動に関するご意見などございましたら、ご自由にご記入をお願いいたします。

【自由民主党】 

貴法人の日頃のご活動、ご尽力に敬意を表します。
不妊等に悩まれる方々のご意見等を踏まえ、本件に取り組んでまいります。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

【公明党】

貴団体が2004年1月の設立以来十数年にわたり、不妊体験者による、不妊体験者のための、セルフ・サポート・グループとして取り組みを重ねて来られたことに、心から敬意を表します。
公明党は1998年に党の基本政策大綱に不妊治療の保険適用を盛り込み、2000年には保険適用を求める署名運動を全国で行い、約55万人の声を政府に届けました。2004年には公明党の坂口厚生労働大臣のもとで助成制度が創設され、その後も助成額などを段階的に拡充してきました。
一昨年は、不妊治療を取り巻く環境や不妊当事者が抱える課題について貴団体からヒアリングを行い、そこでうかがった貴重なご意見を踏まえながら、不妊治療等に対する支援の抜本的充実に向けた政策提言を菅総理大臣(当時)へ申し入れ、人工授精や体外受精等の生殖補助医療について基本理念や国の責務等を定める「生殖補助医療法」の成立や、本年4月からの保険適用の拡大を実現することができました。
不妊・不育症で悩む方への支援について、当事者の視点に立ち、引き続き取り組みを進めます。

【立憲民主党】

立憲民主党は引き続き、不妊治療の保険適用の拡充、不妊治療と仕事が両立できる環境の整備など、子どもを望みながら授かることが難しいカップルを強力にサポートするための政策の実現に取り組んで参ります。

【日本共産党】

いつもありがとうございます。皆さまが、当事者の方々の切実な実態と要求をつかみ、積極的な取り組みをすすめてこられていることに敬意をもっています。
私たちとしても、人権としてのリプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点で政策を充実させ、妊娠・出産に関する女性とカップルの自己決定権の保障、不妊治療をめぐる経済的負担の軽減とともに、心理的負担を含む心身のケアとカウンセリングの充実、安心して産み育てられる社会的環境づくり、子どもの出自を知る権利の保障など、社会的条件整備をすすめ、夫婦や家族のあり方をはじめ個人の多様性を認め合い、誰もが尊厳をもって生きられる社会をつくっていきたいと思います。

【日本維新の会】

不妊治療への保険適用が始まったが、まだ問題が内在している。良い制度にするために当事者の立場から、改善を提案していただきたい。

【国民民主党】

不妊などの取り組みに関して、女性が自己決定権に基づき心身ともに健康で生き生きと自立して過ごせるよう、総合的に検討する必要があると考えております。

【れいわ新選組】

国際的な不妊患者団体連合に参加している貴団体には世界的な不妊治療の動向や各国が抱える問題点について、より詳しいレポートなどを通じて啓発活動を行っていただければ幸いでございます。

【社会民主党】

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