「おきざりになりがちな患者の心」
「生殖医療の質向上に向けて患者からの提言」というワークショップで、Fineメンバー3名がそれぞれの発表を行ないました。 私は、自分が体験した「やるせなかったこと」「悲しかったこと」について、発表しました。
主催:日本受精着床学会
開催日:2009年8月6日(木)~7日(金)※Fineの発表は8月6日(木)
担当者の感想
このような大きな学会での発表は初体験でしたので、演壇に立つまでかなり緊張しましたが、生殖医療の質向上に向けて患者から提言させて頂けるという大変貴重な機会でしたので、要領よく、明確に提言すべく努めました。
限られた10分という短時間の間に、私の提言したいことをいかに医療関係者の心に訴えるかが自分なりのテーマでした。
私は、高度生殖医療の技術の進歩がめざましい一方、当事者である患者の気持ちに対する対応がおざなり、またおきざりにされがちであるのではないかという思いから、6年間の治療期間中に味わった「やるせなかったこと」そして「悲しかったこと」についていくつかの事例と、私のその時の心の動きを発表させて頂きました。
うまく伝わったかどうか・・・、映画館のように照明が暗くなったので、聴いてくださっている方々のその時の表情は見えませんでしたが、発表終了後の質疑応答では、そこにいる皆さんが真剣に「質の向上」について考えていらっしゃるのがわかりました。
ただ、ドクターと患者、どちらも真剣であることを感じるとともに、「ドクターの考える質の向上」と、「患者側の思う質の向上」とでは、微妙なずれがあることも、肌で感じました。
「“妊娠”という結果と最良の技術がすべてではないのか」という考え方と、「最良の技術はそこにあることを前提に、良き結果を求めて、そのプロセスも重要視する考え方」と・・・。
その溝をどう埋めていくのかが、質向上の鍵なのではないかと感じた次第です。
今回のような医療関係者の学会で、患者からの提言が組み込まれた、患者を交えてのワークショップは初の試みらしく(特に生殖医療では)、今後の布石になるだろうと座長のドクターがおっしゃられたのが印象的でした。
そのような貴重な機会を与えて頂けたことに感謝するとともに、今後も、さまざまな形で、患者の声が直に医療関係者に届くような機会が増えることを切に願います。
(担当:さくらこ/Fine公認ピア・カウンセラー)