担当者の感想
日本生殖心理学会主催の生殖心理カウンセラー養成講座・生殖医療相談士養成講座(合同開催)にてカリキュラムの1コマ「不妊当事者の声を聴く」を担当させていただきました。
まずは、私自身の体験を当時のさまざまな気持ちを中心にお話しいたしました。次に、Fineが実施したアンケートの結果や不妊ピア・カウンセラーとしての活動の紹介を通じ、不妊当事者がどのようなことを負担に感じているのか、そして、どのような支援を望んでいるのかについてお話しいたしました。
受講者の方々がうなずきながら真剣にメモを取られているご様子に励まされながら、不妊治療と仕事の両立の難しさ、子どもを授かった後も不妊を体験したことが影響していること、治療の終結を選択することの難しさなどをお伝えしました。不妊治療でたくさんの複合的な喪失体験を繰り返していることにより、卵子や受精卵を「命」としてとらえている人も多く、それを失う体験をした時に悲しむことは必要な過程であることもお伝えしました。終了後、アンケートにはたくさんの感想を書いていただき、大変嬉しく思いました。また、個別にお声がけいただき、ご自分の体験や現在の活動についてお話ししてくださる方もいらっしゃいました。不妊で悩んでいる人をサポートするために真摯に向き合ってくださる姿勢をたいへんありがたく、心強く感じました。
お声かけいただきました日本生殖心理学会副理事長 平山史朗先生、並びに事務局の方には細やかなお気遣いをいただき、ありがとうございました。このような貴重な機会をいただき感謝申し上げます。
(担当:安井幹子/Fine 公認ピア・カウンセラー)
■今回の講演内容についてご意見、ご感想(抜粋)
・医療従事者として、患者様にかけていた言葉が傷つけてしまっていたらと考えるともっと患者様の気持ちを理解し、考えてみることが必要だと感じました。
・「ありのままを認めてもらうこと」で前に進めていけるということを改めて確認させてもらいました。
・毎日たくさんの患者様がいるので、一人ひとりの気持ちを把握し、支えになることが難しく、無力に感じることも多いです。しかし、今日の患者体験を聴く中でその時間を割くことが難しくても医療者として患者様のSOSには気付けるようなナースでありたいと思いました。
・患者立場の気持ちや思いが知れ、大変勉強になりました。流産後のケアは特に難しいと思っていたので勉強になりました。
・いつも患者さんへの声かけに困ったり、悩んだりしているので、実際にこう声かけをしたらいいんだと勉強になりました。
■今回の講義を受けて、あなたの中で変化はありましたか?(抜粋)
・不妊の当事者だけではなく、夫や子ども、家族の心理についても考える視点が持てました。
・感情に寄り添うことの大切さ、自分の気持ちに目を向けることの大切さについて改めて実感しました。
・傾聴し、思いを共有していくことの大切さを改めて感じることができました。
・治療の終結は今までの何かを見つめなおしていくというのに衝撃を受けました(これからの人生を考えて行くと思っていたので)
・生殖に関するいくつかのことで自分の中に固定観念があることに気がつきました。
・つらい状況の時は共有すること、心に響きました。
■次回はどのようなものを望みますか(抜粋)
・不妊治療をしてきた妻を支えてきた夫からの話
・グループカウンセリングなどを行なっているところを見学してみたい
・異性のカウンセリングをする方法を学びたい
・実体験をこれからも聞きたい
・男性スピーカーの話を聞いてみたい
・治療を続けないことを選んだ方の体験を聞きたい
・医療者、病院やクリニックのスタッフのどんな態度や言葉に何を想い何を感じているのか、より具体的にうかがえる機会があると嬉しいです。
【今回の講義内容についての5段階評価】