担当者の感想
鹿児島県が毎年開催されている不妊治療従事者研修会にお招きいただき、お話をしてきました。
会場は県庁近くの鹿児島県市町村自治会館で、桜島が間近に見えました。その雄々しい姿に圧倒されるとともに、地元で愛されるシンボルに力をもらう気持ちで会場に入りました。
研修会には、約80名の方が参加されていました。不妊相談に従事されている県保健所および市町村の保健師さん、不妊専門相談センターで相談を担当されている方、県内の不妊治療指定医療機関・産婦人科医療機関の方々などが県内各地から集まったとのこと。なかには船で長時間かけていらっしゃった方もいるそうです。
まず、鹿児島大学病院 女性診療センターの樋渡小百合先生から「不育症の基礎知識と心のケア」について講演がありました。内容は不育症や流産の説明、不育症のリスク因子と治療、鹿児島市の助成金制度、そして患者への心のケアについてなどで、知らないことも多く、とても勉強になりました。そのなかで「妊娠を経験した全女性のうち、約40%が流産体験者」との説明があり、まわりに話さないだけで多くの人が悲しい気持ちを抱えているのだと想像しました。
次にFineから、私の不妊体験、当事者が抱える悩み、Fineで実施したアンケートから見えてきたことなど、そしてFineの活動について、お話ししました。
参加された皆さんは、日頃私たち患者に寄り添ってくださっている方々ということで、熱心に耳を傾けてくださいました。なかには涙ぐんでいる方もいて、当事者の思いを受け取ってくださったのだと思い、ほっとしました。
質疑応答では、男性不妊の場合や男性への対応などの質問や感想があり、不妊体験を夫婦のこととしてどうとらえ、取り組んでいくか、それを社会にどう発信していくかという課題も感じました。
このように私たち当事者の声を伝える機会を与えていただいたことをとてもありがたく思い、感謝の気持ちでいっぱいです。県のくらし保健福祉部子育て支援課の方々には、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。
終了後、会場を出て再び見た桜島は、夕暮れのやわらかい光に輝いていました。その姿は優しげに見え、とても印象的でした。
(担当:高井紀子/Fineスタッフ)
「県庁の展望台にて撮影」