生殖補助医療をめぐる倫理
「不妊治療の結果は、子供を持ったり持たなかったりすることでどう生きていくかを夫婦で考えられるようになること」(受講生のチャットより)
主催:福島県立医科大学医学部 人間科学講座 生命倫理学分野(旧人文社会科学)
開催日:2020年6月19日(金)
担当者の感想
例年お声がけをいただいている、福島県立医科大学医学部の人間科学講座で、今年も引き続き登壇の機会をいただき、どなたでもご参加いただける「公開講座」を2コマ担当させていただきました。
しかし、今年は例年と大きく違ったことがあります。それは、新型コロナウイルスです。この影響で、3月以降、集合研修はほぼ延期か中止で、私も研修の仕事は全てキャンセルになってしまいました。6月ごろには少しは落ち着いているだろう、そうだといいなと願いながら過ごしていたのですが、その願いもむなしく、なかなか事態は好転していきません。もしかしたらこの公開講座も中止になってしまうのかも…と心配していたら、ご担当してくださっている藤野先生から「オンライン会議システムを使って実施したい」とのご連絡がありました。中止にならなかったのは嬉しいことですが、オンラインで、しかも通信回線に負荷がかからないよう、講師を含む全参加者が音声のみでビデオはオフにするとのこと。いつもの登壇では、グループワークを行なったり、私が会場をぐるぐる回りマイクを向けて発言してもらったり、双方向のやり方をしている講義に、果たして130名程が参加するオンラインでどこまで対応できるのだろうか?と不安に思いつつも、とにもかくにも登壇のための準備を進めていきました。オンラインの登壇は、準備が通常の何倍もかかります。そしてタイムスケジュールが重要になります。特に参加者の皆さんをオンライン会議内の小部屋に分けてグループディスカッションしてもらう場合、その時間は綿密に計算しておく必要があります。この人数で、しかも大学の講義で行なうのは私にとって初の試みだったため、あれこれ試行錯誤しながら内容を考えていきました。
当日、ドキドキしながら登壇。果たして皆さん、チャットや小部屋でのグループディスカッション、またその内容を全体へ共有するための発表など、オンラインで顔が見えない状態で参加していただけるのか…。講義が始まると、私のそうした心配は全く無用で、想定以上に皆さん熱心にご参加くださいました。チャットを使った時も、ちょっと質問をしたら、途端に皆さんから意見がどんどん入ってきます。グループディスカッションの小部屋を回らせていただきましたが、ちゃんときっちり話し合いをしていらして、その後の全体へ共有するための発表もたくさんの手が上がりました。すごい!むしろ集合研修の時よりも挙手率が高い!とびっくりするやらほっとするやら、とにかくとても嬉しく思いました。
私が講義で必ずする「不妊治療の”結果“とは?」という質問に、今回はチャットで答えていただきました。「妊娠」「出産」「子どもができること」という答えが通常は最も多く見られます。しかし今回は「患者にとっての満足感」「妊娠するかしないか」「夫婦が納得できるかどうか」「1番は妊娠、出産だが、場合によっては納得すること」「夫婦が子どもを授かるために納得できるまで行動すること、その過程」など、妊娠や出産以外の答えもたくさん見られ、時代の変化を感じるとともに、講義をさせていただける幸せをかみしめました。
皆さんが素晴らしいドクターになってご活躍される日を、今から楽しみにしています。
(担当:松本亜樹子/Fineスタッフ)
<これまでの関連レポート>
http://j-fine.jp/activity/article/2019/10/fukushima20190628.html
http://j-fine.jp/activity/article/2018/09/fukushima20180629.html
http://j-fine.jp/activity/article/2018/09/fukushima20171124.html
http://j-fine.jp/activity/article/2016/12/fukushima20161125.html
http://j-fine.jp/activity/article/2015/12/fukushima20151204.html
http://j-fine.jp/activity/article/2014/12/fmuac141128.html
http://j-fine.jp/activity/article/2014/01/post-17.html