「生殖補助医療をめぐる倫理」
「不妊治療の結果は、子どもを持ったり持たなかったりすることでどう生きていくかを夫婦で考えられるようになること」(受講生のチャットより)
主催:福島県立医科大学医学部 人間科学講座(生命倫理学分野)
開催日:2022年6月24日(金)
担当者の感想
例年お声がけをいただいている、福島県立医科大学医学部の人間科学講座で、本年も引き続き登壇の機会をいただき、2コマの授業を担当させていただきました。
本年も新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、私だけが念のためにオンライン登壇し、ご参加の皆さんはさすが医学生で、すでにワクチンも早めに投与されているとのことでしたので、大学にて集合受講となりました。
今年からは、末永恵子先生と福田俊章先生のお二人が、この講座をご担当してくださっています。当日の会場でのグループワークのうながし、Zoomの画面の操作、マイクフォローなど、多大なるサポートをいただき、無事に授業を行なうことができました。
私がこの講座で大切にしていることは、医学生の皆さんにご自身で考えていただくことです。知識や情報のインプットだけでなく、それを経てご自身で何を感じ、何を考えたかという思考と感情のアウトプットをしていただくことがとても重要だと思い、講座の準備を行なっています。そのため、ディスカッションをしていただくグループワークの時間はとりわけ大切にしています。倫理という観点からすると、他の人とは違うさまざまな考え方があるだろうと思うからです。その願いのとおり、皆さんディスカッションでは深く考えてくださったことが、後送いただいたコメントペーパーからも感じられ、とてもうれしく思いました。
皆さんが、この講座で感じたことをエッセンスの一つとしていただき、素晴らしいドクターとしてご活躍されることを、応援しています。
(担当:松本 亜樹子/Fineスタッフ)
■今回の講演内容についてご意見、ご感想(抜粋)
・不妊治療という、ややもすれば男性には縁遠く感じやすいテーマに関して、とてもわかりやすく説明していただけて、さまざまな気づきが得られた
・不妊治療のゴールについて妊娠・出産というのが一般的であるが、授業中に取り上げられたご夫婦のようにすべての人が同じ道を目指すわけではないということを痛感した。目に見える結果で我々は自分も他人も評価しがちであるが、これは画一的なものではなく一人ひとり違っていろいろな幸せがそこにあるということがよくわかった
・14人に1人も生殖補助医療で生まれているのに、小学生以下の子どもにはそのことがほとんど認知されておらず、これはいじめや偏見の原因になりかねないと思った。このようなことへの対策として、生殖補助医療を受ける親へのカウンセリングや、初等教育において生殖補助医療の理解を推し進めることが必要だと思った
・今日はクイズに答えながら不妊治療の現状の課題について詳しく知ることができました。最初のクイズの不妊カップルの割合が非常に多いなと感じ、自分も将来悩むのかなと思うと少し不安になりました
・医師は、医学的な面からもアプローチするのはもちろんですが、特に生殖医療については患者さんの望み、意思を最も重要視しなければいけないと感じました。しかし、一緒に何が幸せか?についても考えていくことも大切にしたいと感じました
・妊娠・出産だけが結果ではなく、より広い視点からの幸せを当事者が見つける手助けをすることも医師の大切な役割なのだなと思いました。不妊治療の主役は生まれてくる赤ちゃんであるというお言葉も心に残りました。だからこそ、出自を知る権利が保障される必要があるのだなと思いました
・私は将来生殖医療専門医になりたいと思っています。女性にとって出産というのは人生の中で大きなイベントだと思っています。子どもが欲しくても妊娠できないと困っている人の手助けがしたいです。その時、不妊治療を行なう患者さんに対して妊娠・出産できるように技術を磨くことはもちろんですが、患者さんへの接し方もとても大切になってくると思うので、患者さん一人ひとりに納得してもらえるような治療を目指していきたいと思いました
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